「なかなか寝つけない」「朝起きても疲れが取れない」。そんな悩みを抱えている人は多いのではないでしょうか。
実は入浴のタイミングを少し変えるだけで、眠りの質が大きく変わることがわかっています。
体には「眠りのスイッチ」がある
人の体は、体の内部の温度が下がり始めると自然に眠くなる仕組みになっています。
昼間は体の内部の温度が高く、活動モードになっています。夜になると少しずつその温度が下がり始め、眠気が訪れます。眠くなると手足が温かくなるのは、体が熱を外に逃がして内部の温度を下げようとしているからです。
この「体の内部の温度が下がる」タイミングをうまく作り出すことが、スムーズな入眠と深い眠りにつながります。
なぜ90分前の入浴がいいのか
スタンフォード大学の西野精治教授と秋田大学の共同研究では、40℃のお湯に15分浸かると体の内部の温度が約0.5℃上がり、その後元の温度に戻るまでに約90分かかることが示されています。
そしてこの「一度上がった体の内部の温度が下がるタイミング」に眠りにつくと、深い眠りに入りやすくなることがわかっています。
つまり寝る90分前にお風呂に入ることで、ちょうど眠りにつく頃に体の内部の温度が下がり始め、自然な眠気が訪れるという仕組みです。
また、ノーリツと九州大学の共同研究(2023年)では、シャワーだけの場合と比べて、しっかり浴槽に浸かった場合の方が寝つきまでの時間が約12分短かったことが報告されています。
寝る直前の入浴は逆効果
「忙しくて90分前に入れない」という人も多いでしょう。では寝る直前に入浴するとどうなるのでしょうか。
寝る直前に入浴すると、体の内部の温度が上がったままの状態でベッドに入ることになります。この状態では体が活動モードのままで、なかなか眠れなくなってしまいます。
どうしても直前しか入れない場合は、ぬるめのお湯(38〜39℃程度)に短時間浸かるか、シャワーだけにする方が眠りへの影響を少なくできます。
足湯でも代用できる
時間がない場合や夜遅い場合は、足湯も効果的です。足は毛細血管が多く、体の熱を外に逃がしやすい部位です。足湯で足を温めることで、お風呂と似たような体温変化を起こすことができるとされています。
洗面器にお湯を張って15〜20分足を浸けるだけで、眠りの準備を整えることができます。
おすすめの入浴方法まとめ
- お湯の温度は40℃程度
- 15分程度ゆっくり浸かる
- 寝る90分前に入浴を終える
- 入浴後は激しい運動や熱いものを飲むのは避ける
- 時間がない場合はぬるめのシャワーか足湯で代用
まとめ
良い眠りは、寝る前の行動で大きく変わります。特別な道具もお金も必要ありません。今夜から入浴のタイミングを少し早めるだけで、眠りの質は変わるかもしれません。
「なかなか寝つけない」と感じている方は、まず寝る90分前の入浴から試してみてください。
参考文献
- 西野精治「スタンフォード式 最高の睡眠」サンマーク出版(2017年)
- ノーリツ×九州大学 共同研究「入浴による深部体温の上昇度の違いが睡眠潜時や睡眠の質におよぼす影響」(2023年)
https://digitalpr.jp/r/76274 - 健康保険組合連合会「学ぼう!働く世代の睡眠 第4回」
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/file/suiminkoramu_4kai_pc.pdf

